論文「Aquaphotomics for monitoring of groundwater using short-wavelength near-infrared spectroscopy」がSpectrochimica Acta Part A: Molecular and Biomolecular Spectroscopy誌に掲載されました。この論文は、神戸大学アクアフォトミクス研究室、ハンガリー農業生命科学大学アクアフォトミクスグループ、和歌山県橋本市の湯の里アクアフォトミクスラボの3チームが長期にわたる共同研究した成果によるものです。

和歌山県湯の里アクアフォトミクス研究室では長期研究プロジェクトが行われており、2016年に最初の成果がTalanta誌に掲載されKovacs, Z., Bázár, G., Oshima, M., Shigeoka, S., Tanaka, M., Furukawa, A., Nagai. A, Osawa, M., Itakura, Y. and Tsenkova, R. (2016). 水質モニタリングのための総合マーカーとしての水のスペクトルパターン.Talanta, 147, 598-608.)、今回は最新の成果を発表しています。株式会社重岡のゆの里温泉では地下水を汲み上げており、2016年からこの研究による初のアクアフォトミクスに基づく水質モニタリングシステムを採用しています。また、民間初の「ゆの里アクアフォトミクスラボ」を設立し、研究の幅は食品、化粧品、土壌、人の健康、さらに音にまで広がっています。

今回の論文では、従来の水のモニタリングの研究と比べ、温度や湿度といった環境要因に最も影響を受ける吸光バンドを除外することで、短波長の近赤外における水のスペクトルパターン(WASP)の頑健性を高め、統合的な水質マーカーとして使用できると示されました。

また、水のマトリックス座標-WAMACs-の新たなバンド選択方法が紹介されています。水の第一倍音領域(1300 nmから1600 nm)における研究結果は数多く報告されていますが、アクアフォトミクスのウェビナーでも表面化したように、水の近赤外スペクトルの他の領域でのWAMACの選定は、研究者にとってまだやや難解なようです。この論文では、吸光バンドからWAMACを選択する過程と、600 nmから1050 nmの吸光バンドの割り当てが詳しく説明されています。

湿度や温度の影響を受けるバンドを示し、それらを最終的にWASPから除外したことで、環境変化による「誤報」を効率的に防ぎ、毎日スクリーニングを行う様々なミネラルウォーターに対して堅牢でユニークなWASPを開発することができました。

本論文は2022年5月11日より、下記のリンク先でオンライン公開されています。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1386142522005273

この研究では、温度、湿度、時間などといった環境要因による地下水のスペクトルパターンと水素結合への影響を、独自の方法で示しています。これらの影響に関わらず、我々は、モニタリング期間中、一貫した特異的スペクトルパターンをアクアフォトミクス解析により得ることに成功しました。これらの結果から、可視および近赤外スペクトルパターンは、水質の統合的マーカーとして、効率的かつ経済的な安定した水質モニタリング法にできることが明らかになりました。

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