
ルミアナ・ツェンコヴァ教授が、近赤外分光学会議(CNIRS)の2024年度「ジェラルド・バース賞」を受賞されたことを大変嬉しくご報告いたします。これは、非侵襲的疾患診断の先駆的研究や、アクアフォトミクスの創始者として、近赤外分光法(NIRS)の発展に多大な貢献をされたことが認められたものです。
2005年、ツェンコヴァ教授は初めて、生体系および水系に特有の新しい水の吸収バンドとスペクトルパターンを提唱し、診断・定量・機能的特徴付けに活用するためのデータベース「アクアフォトーム」の構築を提案されました。これにより、水が物質とエネルギーの集合的な鏡であるという現象の発見につながりました。
今回の受賞は特に、ツェンコヴァ教授と共同研究者による、食品における水分活性の解明に関するアクアフォトミクス研究に対して贈られました。この研究の意義は、水蒸気吸収バンドにおける吸収と水分活性の相関を明らかにし、水分活性の定義を実証するとともに、水のスペクトルパターンを食品保存のための新しい動的多次元バイオマーカーとして提示した点にあります。
2024年 Gerald S. Birth賞 受賞者発表を読む
授賞式は、2024年8月1日に米国テネシー大学で開催された国際拡散反射会議(International Diffuse Reflectance Conference, IDRC)にて行われました。受賞者講演は前日の7月31日に行われ、同日にはツェンコヴァ教授とムンチャン准教授が座長を務めるアクアフォトミクスセッションも開催されました。
International Diffuse Reflectance Conference (IDRC) July 27 – August 2, 2024
Gerald Birth賞
Gerald S. Birth賞は、拡散反射分光法または拡散透過分光法の分野における卓越した革新を称えるために、CNIRS(Council for Near-Infrared Spectroscopy, 近赤外分光学会評議会)によって授与される権威ある賞です。この賞は、国際拡散反射会議(IDRC)の創設者である Gerald S. Birth 博士 を記念して設立され、近赤外分光学(NIR)の技術と科学における重要な進展と貢献を祝うものです。
Birth博士は拡散反射に関連する装置技術の発展に大きな貢献をし、この賞は隔年で、その分野において画期的な進歩を遂げた研究者に授与されます。対象となるのは、可視光、近赤外(NIR)、中赤外(mid-IR)の領域における拡散反射または透過分光法の研究を行っている研究者です。
*1 Malegori, C., Muncan, J., Mustorgi, E., Tsenkova, R. and Oliveri, P. Analysing the Water Spectral Pattern by Near-Infrared Spectroscopy and Chemometrics as a Dynamic Multidimensional Biomarker in Preservation: Rice Germ Storage Monitoring. Spectrochimica Acta Part A: Molecular and Biomolecular Spectroscopy (IF 4.4), p.120396, 2022. https://doi.org/10.1016/j.saa.2021.120396