水質管理は、水システム分析に最も適した手法であるアクアフォトミクスの最も自然な用途の1つです。非常に低濃度の溶質の測定が可能であると判明したため、農薬などの汚染物質の検出(アラクロール及びアトラジン, 濃度1.25〜100 ppm, 検出限界はアラクロールで12.6 ppm, アトラジンで46.4 ppmと推定)(Gowen et al. 2011)や、ろ過モニタリング (Cattaneo et al. 2011)に力を入れました。個々の溶質の検出と定量化から移って、アクアフォトミクスは総合的なマーカー(またはバイオマーカー)として水のスペクトルパターンという概念を導入しました(Kovacs et al.2016)。 ミリモル濃度レベルの酸、糖、塩などの水溶液、および実際の地下水などをモデルとした水の構造変化を観測し、この概念の適用可能性を確認しました(Kovacs et al.2016)。 このアプローチの成功により水質モニタリング手法における新たな可能性が開かれました。水質を継続的にスクリーニングするための迅速で費用効果の高い手法としてもちいることができるのです。
わずかな異常でさえも水のスペクトルパターンに反映されるため、従来の詳細な溶質分析が必要であるかを判断する指標として役立つ可能性があります。
Cattaneo, T.M.P., V. Stefania, N. Elena, and E. Vittorio. 2011. “Influence of filtration processes on aqueous nanostructures by NIR spectroscopy.” Journal of Chemistry and Chemical Engineering 5 (11):1046-1052.
Gowen, A., Y. Tsuchisaka, C. O’Donnell, and R. Tsenkova. 2011. “Investigation of the Potential of Near Infrared Spectroscopy for the Detection and Quantification of Pesticides in Aqueous Solution.” American Journal of Analytical Chemistry 2 (08):53.
Kovacs, Z., G. Bázár, M. Oshima, S. Shigeoka, M. Tanaka, A. Furukawa, A. Nagai, M. Osawa, Y. Itakura, and R. Tsenkova. 2016. “Water spectral pattern as holistic marker for water quality monitoring.” Talanta 147:598-608.