R言語パッケージ「Aquap2」

執筆者

Bernhard Pollner (bernhard.pollner@mac.com)

Zoltan Kovacs (kovacs@correltech.com)

はじめに

アクアフォトミクスの観点から近赤外スペクトルを分析する使いやすいツールを提供するために、私たちは2013年からR言語環境でのソフトウェア開発に取り組んできました。 開発はボランティアで行っているため、機能の拡張には時間がかかるかもしれませんが、まだベータ版段階にもかかわらず、すでにパワフルで柔軟性に富んだ多目的な機能を備えています。他の商用ソフトウェアにはない特別な機能(例:アクアグラム計算)があるほか、分析時間の劇的な短縮、非常に反復的なタスクの完全なスクリプト化、すなわち自動化などが可能といった利点があります。

ソフトウェアの主な内容

  • 実験のデザインとサンプルのランダム化
  • 様々なファイル形式からのデータインポート(例: *.DA, *.txt, *.xls, *.xlsx, *.pir, カスタムインポート機能で拡張可能)
  • サンプル名、グループ化変数、その他の構成情報の、スペクトルデータとの自動的な統合
  • 実験環境パラメータ(温度、湿度など)のモニターに使用されるロガーデータの、スペクトルデータとの自動的な統合
  • データ分析と可視化:
    • サンプル/グループを色分けなどでまとめることによるデータのグループ化/分割/スライス (データの別々の部分で同じ分析フローを繰り返すことが可能)
    • 様々なデータの前処理(例:スムージング、SNV、MSC、EMSC、DETREND、異なる算出方法による微分、平均化、リサンプリング、人工的なノイズ負荷
    • 解析手法(実装例: PCA, PLSR, SIMCA, 異なるバージョンのアクアグラム計算など)(実装中:PLS-DA; ANN; SVM; ICA)
    • スコアプロットにおける統計的な意味を持つ楕円のプロットを介して、生スペクトル表示からベクトルにおけるピークのマークまで、非常に柔軟なデータの可視化が可能
    • 異なるクロスバリデーションと独立した予測オプションによるモデル最適化支援

典型的なワークフロー

初めに一度セットアップした後の、第1ステップは実験のフォルダを構成することです。そうすることで実験メタデータ内のエントリー項目を利用して実験のデザインを行い、測定の際に使用可能なランダム化されたサンプルリストをパッケージに生成させることができます。

データの取得が行われた後で、サポートされているデータフォーマットのいずれかからデータをインポートすることが可能です。または独自のデータインポート機能を簡単にプラグインして特定のデータフォーマットを読み込むこともできます。(提供された温度と相対湿度のログファイルからのデータを、データセットのタイムスタンプに自動的に合わせることができます。)

データが aquap2 の標準データセットにインポートされれば、分析プロシージャー anProc.r を使って異なる波長範囲やサンプルグループごとにデータを分割してグループ化することや、様々なモデルの作成、実装された手法やツールを使用したデータ分析を行うことができます。

Rパッケージ「aquap2」のインストール手順(英語)

Step 1.

# 最新版のRをシステムにダウンロードしてインストールします

https://www.r-project.org

Step 2.

# R-Studio の最新バージョンをシステムにダウンロードしてインストールします

https://www.rstudio.com/products/rstudio/download/

Step 3.

# R-Studio で、以下のコードを実行します:

install.packages(c("devtools", "iterators"))

library(devtools)

install_github(repo="bpollner/aquap2", ref="latestPublic",  build_vignettes=FALSE, force=TRUE)

# これで “aquap2” パッケージがシステムにインストールされているはずです

# 次のコードでインストールの確認することができます

library(aquap2)

# これで “aquap2” パッケージの設定をヘルプページで説明されている通りに進めることができます

# 幸運と発展がありますように! そして、私たちを引用することを忘れないでください!

citation("aquap2")

# 注意: 複数のパッケージをダウンロードするには、インターネットに接続している必要があります

# 注意: エラーが発生した場合は, エラーメッセージを読んで, それに応じた対応をしてください

フィードバックとコメント

成長を続けるaquaP2ユーザーのコミュニティで皆様をお迎えできることを心から願っております。皆様からのフィードバックにより、パッケージの強力性と適用性をさらに向上させ、作業が役立つようになります。

これまで、R-Packageの開発は次のイベントで紹介されました

  • 生体システムにおける水の理解 第2回国際シンポジウム, 神戸大学農学部, 2016年11月26日-29日, 神戸,日本
    • Pollner, B., Kovacs, Z. (2016).アクアフォトミクス専用ソフトウェアR-Package”aquap2″ 一般紹介およびワークショップ (ダウンロード)
  • アクアフォトミクス: 生体の世界における水の理解 第5回神戸大学ブリュッセル欧州センターシンポジウム, イノベーション、環境、グローバリゼーション – 日本・EU研究連携 – 2014年10月14日. Pollner, B., Kovacs, Z. (2014)
    • スペクトルデータ解析のための新しいツールのデモンストレーションと水の近赤外スペクトル(ダウンロード)