AquaGrammar Help
AquaGrammar の仕組み
ワークフローが適用される順に、短く答えます。アプリの i ボタンからお越しの場合は、 その疑問に対応する項目が開いています。
SNV と 3 つの範囲
SNV(Standard Normal Variate) は、1 つの測定をそれ自身で正規化します。その 測定の平均を引き、標準偏差で割ります。これにより測定間の全体的なレベルの違いが 取り除かれ、2 つのスペクトルを明るさではなく*形*で比較できるようになります。
プレビュー版は、選択した各測定に自動で SNV を適用します。利用者が選ぶのは、平均と 標準偏差を決める波長範囲だけです。
水にこれらの領域がある理由
水の近赤外スペクトルには、およそ 970、1190、1450、1940 nm に 4 つの主な極大が あります。OH 伸縮振動から順に、その第2倍音、第1伸縮倍音と OH 変角の結合音、 第1伸縮倍音そのもの、そして伸縮と変角の結合音に対応します。muncan このうち 2 つが MicroNIR の測定範囲に入るため、AquaGrammar はこの選択肢を 提供しています。
3 つの範囲
第1倍音 1300–1600 nm — 既定であり、公表された慣行。 コントロールの表示は慣行どおりの帯域です。実際の範囲は 1298〜1601 nm の間にある すべての測定点を対象とし、μ と σ はその中の列だけから求めます。したがって範囲の 境界は表示上の都合ではなく、手法の一部です。 Classic-12 の 12 座標は水の第1倍音の中で実験的に見いだされ、いずれも 1342〜1512 nm に あります。muncan この領域が使われるのは、水のバンドが明確に分離でき、その帰属が よく文書化されているためです。muncan 確立された aquagram の手法では、波長ごとの 標準化の前に、この同じ領域で散乱補正を適用します。molecules2020 したがって これを選ぶことは、標準的な手順を再現することになります。まずはここから始めてください。
結合音 1100–1300 nm。 この範囲の 1190 nm 付近のバンドは、O-H 伸縮の第1倍音と O-H 変角の基本音の結合音です(2ν₁,₃ + ν₂)。muncan 第1倍音より弱い吸収で あり、その弱さこそが要点です。厚い試料や吸収の強い試料で、標準的な 1 mm・2 mm の 光路長では 1450 nm 付近がセンサーを飽和させてしまう場合に、深部透過や短波長 NIR モニタリングで用いられる領域です。試料が厚い、あるいは吸収が強く第1倍音領域で 検出器が飽和する場合に選んでください。
正規化の基準としては、もう 1 つ利点があります。プロットする座標の*外側*にあることです。 Aquaphotomics の前処理に関する研究は、対象となる化学バンドが存在しない領域から 散乱を推定することを勧めており、1000–1300 nm をその 1 つとして挙げています。roger
(アプリの範囲 1100–1300 nm はバンドを広めに含みます。吸収そのものは 1150–1250 nm 付近に集中しています。)
全範囲 — ファイル内のすべての波長。 探索や他ツールとの比較に便利ですが、 トレードオフがあります。全波長 SNV は、対象成分に由来する変動をスペクトル全体に 分散させてしまい、特定のスペクトル成分を取り出したい場合には有害だと同じ研究が 述べています。roger また、検出器の端のノイズも含まれます。
未知の系を調べるとき
1 つは明確な基準があります。試料が厚い、または吸収が強く第1倍音領域で検出器が 飽和する場合は、結合音帯で作業してください。 これは好みではなく、測定の性質です。
それ以外に規則はなく、公表された判断手順もありません。よく知らない対象系を調べる ときの一般的な助言は、1 つを決めつけずに各領域を見ることです。水系によって適した 領域は異なるため、それぞれを確認する価値があります。muncan 実際には、同じ選択を 複数の範囲で実行し、得られた Aquagram® を比較してください。ある範囲では群が分かれ、 別の範囲では分かれないのであれば、結論を出す前にその理由を理解する価値があります。
3 つのいずれかを「正解」と考えないでください。どれを使ったかを記録してください。 それは結果の一部です。プレビュー版が来歴表示と各処理済み行の式にこれを書き込むのは、 まさにそのためです。
標準化
SNV のあと、各波長をファイル内のすべての測定にわたって標準化します。
(値 − 平均) / SD
SNV が 1 つの測定に沿って働くのに対し、標準化は 1 つの波長に沿って働きます。 これにより各座標が比較可能な土俵に載り、値の大きい座標がチャートの形を支配することを 防ぎます。
選択したすべての測定で同一の波長にはばらつきがありません。その標準化値はエラーでは なく 0 になります。
繰り返し平均
最後に、各群の繰り返しが 1 行に平均されます。15 回測定した群は 15 本ではなく 1 本の 線になります。ステップ 2 で正しい群を選ぶことが重要なのはこのためです。平均は群の *中*で行われ、群をまたぐことはありません。
操作:平均・加算・減算
これらは、上記の処理がすべて終わった準備済み行に対して働きます。
平均 — チェックした 2 行以上の平均。複数から代表的な 1 本を作ります。
加算 — チェックした 2 行以上の合計。
減算 — 調整する行を任意の数だけチェックし、基準行を別に選びます。調整した 各行がそれぞれ「調整対象 − 基準」という結果になります。3 行を 1 つの基準に対して チェックすれば、一度に 3 件の結果ができます。ある行を自分自身から引くと 0 になり、 意図したとおりの対象を選べているかの確認に使えます。
知っておくとよいことが 2 つあります。
- 処理済み行は、いつでも名前の変更(鉛筆)や削除(×)ができ、さらに別の 操作の入力にもなります。
- *Aquagram® 用の入力*の一覧では、元の群と処理済み行は対等に扱われます。任意の 組み合わせでプロットできます。
Aquagram® を読む
チャートには 12 本の軸があり、Classic-12 WAMACS の各座標に対応します。各軸には 目標波長と、関連づけられた帰属が表示されます(例:*1412nm (S0 free OH)*)。 選択した各行が、凡例に示された色で、12 本の軸を結ぶ閉じた線として描かれます。
中心からの距離は、その座標における標準化された値です。値が標準化されているため、 意味があるのは線どうしの違いであって、個々の線の絶対値ではありません。
操作:
- 凡例の項目で線の表示・非表示を切り替えます。3 本目を隠すと 2 本の比較が しやすくなります。
- 拡大は 50% から 300% まで。100% を超えるとドラッグで移動できます。
- 表示中の線にカーソルを合わせると、座標・波長・値が読み取れます。
Aquagram® は可視化です。診断を確定したり、効果を証明したり、個人を特徴づけたり するものではありません。解釈は、そのスペクトルを生んだ実験に基づきます。
全体平均の結果表
全体平均の結果表を表示を選ぶと、固定の 12 行の表が開きます。各 Classic-12 座標に ついて、目標波長、実際に使われた測定波長、そしてプロットした行全体の平均が 示されます。
これは、図の背後にある数値をそのまま確認できるようにするためのものです。下記の出力 との違いに注意してください。この表はプロットした行を 1 つの平均にまとめますが、 CSV と XLSX は各線を個別に保持します。
出力
| 形式 | 内容 |
|---|---|
| XLSX、CSV | 目標波長の WAMACS 列と、プロットした線ごとの列(線の名前と色を見出しに含む) |
| PNG、JPG | チャートと凡例の画像 |
XLSX と CSV は再利用のためのものです。別のツールでチャートを描き直したり、値を手で 確認したりするのに必要な情報が入っています。PNG と JPG は文書に貼るためのものです。
プレビュー版が出力できるのはこの 4 つだけです。
プレビュー版が行わないこと
設計上、存在しません。設定で隠されているのではありません。
- MicroNIR 機器への接続や制御
- プロジェクトやセッションの保存(新しいファイルを開くと現在のものが置き換わります)
- 手動での前処理や、WAMACS 定義の編集
- PCA、SIMCA、PLSR などのモデリング
- 平均・加算・減算以外の操作
プレビュー版が 1 つの承認済みワークフローを適用するのは、同じファイルから誰もが 同じ結果を得られるようにするためです。手法そのものを変えたい場合、プレビュー版は 適したツールではありません。
お問い合わせ
ご質問・ご意見は aquagrammar@aquaphotomics.com までお寄せください。
Sources
- Muncan & Tsenkova, "Essentials of Aquaphotomics and Its Chemometrics Approaches", *Frontiers in Chemistry*, 2018.
- Muncan et al., *Molecules*, 2020 (PMC7248758).
- Roger et al., "Preprocessing NIR Spectra for Aquaphotomics", *Molecules*, 2022 (PMC9610546).